議員が市民からの要望を取捨選択して一般質問する場合、たいてい予算が伴います。現在新年度予算編成の渦中にあると思われますが(財政課が担当)、必要経費(義務的経費)以外でどれだけニーズに応えることが出来るのか。予算の勉強をしていて、どうしても交付税に頼らざるを得ない部分があります。
2017年、3月議会での一般質問において、かなりの時間を割いて地方交付税部分の臨時財政対策債についての質問をしました。根本的考えの相違がある議員がいますが、わたしの考えは以下の通りです。———————————————————————-
Q、 財政という観点からの、位置づけ。
A 本来は普通交付税として交付するのだが、地方交付税の財源を確保できないので、普通交付税の一部(半額程度)に代わって地方債の発行可能額が付与される制度。
地方債なので、後年度に元利償還金が生じるが、その全額が理論償還ベースで(後年度の基準財政需要額に算入される)、起債をしても実質的には財政負担が生じない。
Q、起債をおこすので、借金の一つだが、実質的には、後年度に、国が元利を見てくれる起債である。平成27年度は、利率が0,1%(26年度は0,4%)
基準財政需要額に算入されるのは、国が財政破たんしない限り、負担はない起債である。国が地方交付税を満額支給できずに、赤字国債の発行を抑えるために、国が行う制度なので、豊明市単独ではどうしようもない起債か?
A 地方交付税の一部が臨時財政対策債に振り替わっているのは、国家財政のひっ迫が原因、国家財政が好転しない限り、臨時財政対策債が無くなる道筋はつけられず。
不足額に対して、国と地方が財政負担を折半するというルールが平成13年度に定めら、地方側の折半ルールの適用部分が臨時財政対策債。
国税と地方税の伸びが続くことで、この不足額そのものが生じなくなれば、臨時財政対策債の発行も不用となる。
国税のうち一定の法定率から交付税を補うことになっているが、実際には地方の需要は拡大して、これに対して国税の法定率では補いきれず。
地方財源不足が生じる。
これに対して、地方財政対策として国が様々な手当てをしている。
財源対策債として、地方債発行を追加することもそのひとつ。
交付税の原資で最終不足する部分の半分を国が一般会計から繰り入れ、残りの半分は地方が負担するこれが折半ルール。

Q、 豊明市にも、十分な税収があれば、臨時財政対策債を発行しなくても、予算は組める。
折半ルールは、国も財政が厳しいので、平成13年から、今までのように地方交付税を満額交付できないので、地方も半分、起債をおこしてくれ見てくれ、ひも付き補助金ではなく、一般財源で使っても良い。
平成27年度は国が8億7千8百万まで借りても良いという発行限度額という数字を示したが、27年度では、8億5千万までしか借りず。
その差額の3千万円はどうなるか?
3千万円分は、交付税の基準財政需要額に算定されるのか?
A 後年度に償還が始まる時に、その年度の元利償還金8億7800万の発行分で算入される仕組み。
Q、 限度額いっぱいまで借りなくても、限度額まで元利償還金が算入されれば、有利だ。
臨時財政対策債は赤字補てんだという声が豊明市議会にあるが、地方交付税の不交付団体が臨時財政対策債を発行すれば、
赤字だと思うが、豊明市のような地方交付税の交付団体が発行するとき、赤字補てん、赤字地方債と言う議員がいる。
豊明は臨時財政対策債は、赤字補填、赤字地方債という考えか。
A 後年度に国による元利償還金の発行可能額分の全額の補てんが無いのであれば、赤字地方債になりますから、普通交付税の不交付団体なら赤字地方債の発行となる。
後年度の補填制度の下での適正な臨時財政対策債の発行について赤字地方債と称するのは事実と異なる。
更に、国が後年に元利償還金を一部補てんする起債は他にもありますが、全額補償する臨時財政対策債はこれら全ての起債のなかで最も有利な起債である。
Q、 臨時財政対策債を利用して、仮に起債の元利償還が、基準財政需要額に
算入されなかった場合、豊明市にどのような影響が出るか。そのような試算はしてあるか。
A 国が地方に積みあがった臨時財政対策債の元利償還金について基準財政需要額に算入する措置を制限したり、停止したりするような事態となると、全国の自治体の財政運営に深刻な影響を及ぼす。
Q、 臨時財政対策債と、地方交付税との関係。
全国どこに住んでいても均等である社会保障、教育、インフラを整備するためのお金を、国が地方に補填するのが地方交付税。
臨時財政対策債を発行しないとなると、
国から財政基盤の強い市だとみなされる可能性は?
発行しないことによって地方交付税や特別地方交付税などへの減額などの影響は?
A 客観的に算定される臨時財政対策債の発行可能額は、そもそも普通交付税そのものに相当する財源不足額。
客観的・相対的に算出されてくる不足額について、これが不用であると表明することの意味が実はとても大きい。
一般財源に余裕があるという表明をする以上、他の一般財源が客観的に減少するという懸念と覚悟が必要。
Q、 臨時財政対策債を借りないと、財政に余裕があると見なされて、地方交付税などが減らされる可能性があるか。臨時財政対策債の償還は国が後年に全額補償するが、国の財政も相当厳しいので、反故にされないか、
形としては、地方債なので、地方で償還してくれと言われる可能性は。
A 国が反故にするようなことは絶対にない。国と地方の財政は一体で、反古にするな状態があるなら、その時は国の財政破綻である。

Q、臨時財政対策債の元利償還金について基準財政需要額に算入する措置を制限すると財政運営に深刻な影響を及ぼす意味は
A 基準財政需要額への算入が無くなる分、普通交付税の実交付額に直接減少影響が生じる。
結果として、歳入欠陥が生じる。継続化するために、深刻な影響が生じる。
Q、歳入欠陥が生じるのか。
仮に、今の豊明市の予算で、臨財債を発行せずに予算組みは出来るか?
A 出来ない。その場合は大幅に市民サービスを低下させた予算だ
臨時財政対策債を発行しない予算編成はあり得ない。基準財政需要額に対して基準財政収入額が届かない分、つまり需要と収入との差し引きした不足分が財源不足額であり約17億円見込まれる。
この17億円の約半分の9億が普通交付税、残りの8億が臨時財政対策債これだけの規模の歳入財源は他に変わるものはない。
仮に、臨時財政対策債を除外して予算編成すると、結果的に、財政的な柔軟性を損ない、財政は硬直化する。
現在の住民の財政運営に支障をきたすだけでなく、将来に引き継ぐ財源も全く無くす財政的判断となる。
財源不足額方式のみの算定と制度改正され、発行可能額が国の算定の中で発行抑制が図られるようになって以降は、概ね発行額に近い規模で議決をいただき発行を進めている。それは結果的に、直ちに財政的な柔軟性を損なうこととなります。現在の住民の財政運営に支障を来たすだけでなく、将来に引き継ぐ財源も全く無くしていくという誤った財政的判断となる。
Q、 臨時財政対策債に変わる財源はない、利用せずに予算組みをしようとすると財政が硬直化するということだと理解している。
事業仕分けをして、補助金を見直して、予算を組み替えれば、無駄がザクザク出てきて、不足する8億円と言う数字・財源は生まれるか。
A そんなに簡単には生まれない。
Q、 将来の市民負担について(子ども達への先送り)
臨時財政対策債は、投資的経費ではない一般財源なので、将来に形あるものを何も残さないので、発行を抑えるべきだと主張して
負担だけを残す起債ではないかという、そういう声があるが、
A 不足額を補填して財政運営を行うことで、全体の財源調整を踏まえ、
その余剰額を生み出すことが可能となる。
財政調整基金等への純粋な積み増し額や、繰越金によって年度間を亘る財源を生み出す。
投資的経費を目的としない例外的な起債であることはもちろんだが、将来世代に引き継ぐ財源を生み出す起債があることで、将来の投資的経費を確保し、災害対応も可能にしている。連続性ある財政運営が、判断の前提、基本となる。
Q、健全化判断比率の将来負担比率において。
臨財債を利用せずに、財調の積み立てが出来なかったとすると、
将来負担比率はどうなるのか、良くなるのか、悪化するのか
A 平成27年度決算での健全化判断比率の将来負担比率は、▲21,8%で黒字
臨財債を利用せずに、財調積み立てができなかったとすると、1.5%悪化
基金積み立てが多すぎるという立場(早川たち)財調基金を標準財政規模の10%に想定して試算すると、将来負担比率は更に18.1%悪化。
▲エリアの黒字状態が赤字状態に大きく近づいて、将来の負担が劇的に悪化する。
臨財債を利用せずに、財調の積み立てが出来なかったとすると、将来負担比率が1,5%するし、標準財政規模(130億)の10%にすると、将来負担比率は18%悪化する。上手く利用しないと、豊明市の財政が悪化する。
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財政調整基金についてこれも、30億という財政調整基金が多すぎるという指摘があるが、豊明市は、県内他市と比べて財政調整基金が多い町(市)か?
A 基金の額ではなく、標準財政規模に占める割合で比較すると、豊明市の
22.8%は、県内の市で10位。
(1位みよし、2位田原、3位愛西、4位大府、5位刈谷、6位あま、7位豊川、8位碧南、9位豊田、10位が豊明)
大企業本社などがある、財政豊かな近隣市に比べて、特定積立基金が少ないのが豊明市。標準財政規模で試算すると、30億円と言う基金が愛知県内で10番目に多いのか?財布は同じなので、基金全体で見るとどういう位置づけか?
A 団体の規模に応じて基金の額は変わるので、額での比較は客観的な相対比較とならず。基金の額ではなく、標準財政規模に占める割合で比較。
一時、財政調整基金は枯渇状態に陥ったが、議会の関与を頂き復元を進めた。
基金全体で相対比してみると、特定目的基金の乏しい当市は、基金全体で見ると下位になる。
基金全体で見ると、全国790団体のうち578番目の備えの小さな団体であることが客観的事実であり、財政運営上の課題として認識している。
アセットを進めて、今後40年間で30%の床面積を削減するという、目標を立てた。
大震災地である福島、今回熊本(益城町)にも、視察に行ったが、あのような未曽有の大震災が発生した場合、30億と言う金額では、桁が違うお金が必要となる。
福島や熊本のように、一気に国が助けてくれる、県が助けてくれるはず、と構えていてはいけない。
震災は広域に渡ると想定されるので、救助・救援物資などの援助が遅れることが想定される。
大震災などの自然災害に備えての「基金」も、特定積立基金が少ないので、基金が十分備わっていない、豊明市としては財政調整基金から捻出せざるを得ない。
財調の30億という金額は、東日本大震災、熊本地震などの災害などを見れば、あっという間に、無くなる金額で、アセットを遂行していくにも、お金が必要となる。
市税だけでは、全国ほとんどの自治体は、どこに住んでいても、年金・医療・介護・教育など最低限、全国一律サービスを受けられる予算が組めない。
まさに財政破たんした団体のように大幅に市民サービスが低下したら、多くの市民は、よその市に引っ越していく。
国の予算の多くは、国防・外交・そして国民生活の確保、国債の利払いのために使われている。
地方交付税も幸か不幸か、1,0を切っているので交付されている。
消費税も、地方消費税として豊明市にも還付されている。
国と地方の関係でも、簡単に国が財政破たんするという口にする議員がいるが、国からの補助金が命綱の、地方はどうやって財政運営していくのか。(豊根村・東栄町のように財政力指数の低い)
国が保障してくれる、利率の安い元利保証してくれる臨時財政対策債を上手く活用しながら、予算組みをして、豊明の財政を廻してくれるよう要望したい。