深夜、朝まで生テレビを見ていました。コロナでの医療崩壊について、それぞれの立場の人から意見があり、民間病院がなぜ患者を受けづらいのか、議論が交わされ興味深く見ていました。
昨日から、畑で耕運機を動かしながら、今までの予算書をボツボツ読みだしています。あまりに資料が多くて不得意な分野などは、ついつい目をそらしがちになりますが、広く浅く目を通しています。


地方議員のための予算審議のポイント講座セミナー
参加 : 三浦桂司 自治体の環境変化と予算審議 ストック・サイクル
人口減少と高齢化が進んで、2050年の人口推計が1億人を下回る。ある基礎自治体を例(4市町が合併)に挙げると、全国的に人口が半減する地域が66%に及び、2割が無居住化する。国が最大公約数を示すが、2014年5月、日本創生会議が消滅可能都市を示した。人口増加策、30年間人口減少することが顕在化した。各自治体は人口増加策を講じても、その効果が表れるのが30年後となる。
ある基礎自治体の例
人口減少の中、公共施設の延床面積は大きく、今後40年間で、1,060億円の更新費用が必要となる。(年間26,5億)平成17年~21年まで、公共施設関係普通事業費が年間19,9億円だった。
全国的に見ても、建設後50年以上経過する社会資本の割合は、平成18年度を基準にすると道路が8%から47%へ、河川管理施設が10%から46%へ、下水道管渠2%から14%へ、港湾岸壁5%から42%へ
建物の老朽化、余剰化。平成の大合併において合併特例債を利用してハコモノを建設。公共施設は総合管理計画を作り30年間の人口推計をして、議会もマイナスを含む計画を議決した。市民から反対が起きるのを覚悟して、決算審査に向けた行政シートを策定。ベットタウンの町で個人住民税が主たる税収で、上下水道、小中学校、保育所の更新時期となっている。
更新、投資が出来なくとも道路を廃止できず。となると、施設を統廃合するしかない。長寿命化策では橋の補強代金が無ければ、近くに同じような橋があれば橋を撤去するという考えもある。反対は起きるが、そこまで行って、財源をどうすべきかという意識が出る。
議会は、当局の提案権に対して議決権を発揮してストップできるが、全ての公共施設の更新は出来ないため、老朽化・余剰化に対して選別が必要となる。公共施設の統廃合、再編予定している自治体は、全国で1/4しか考えていないのが現状である。28年までに総合管理計画策定を実施。
予算と決算
財政民主主義、予算・決算を連結させるべきである。租税や公債など市民に貨幣的負担を負わせている自治体。前提となる経費支出について、市民どのような負担を市民に追ってもらえるのか議会の議決を通じて、承認を得る。
歳入歳出の結果は、決算書という形式文書にして議会の承認を得る。決算は終わったことと捉えず、次年度以降の予算に生かすことが重要で、決算の結果を見て、予算を審議することが大切である。決算統計、出納で一般会計、決算から予算へ連続性で考える。
決算の流れは会計管理者による決算調整、監査委員による審査・意見、議会による審査・認定、市民に公表する。議会は、歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書、財産に関する調書、主要施策の報告書から審議する。
予算書は、1月の市長査定を経て、2月初旬には、すでに執行部で決着がついている。議会が予算修正するには、新しい事業の増額修正権は首長の予算提案権に抵触する可能性が大きく、減額修正権しかない。
9月の決算審議で、課題を見つけ出し、政策提案を考える。重要だと思えば、動議も考え12月の時点で提案しないと、時間的に間に合わない。
予算審査のポイント
補正後の平成27年度予算と、28年度予算案との歳出規模・伸び率を総額で比較する。目的別に、前年度との伸び率(減少率)を比較する。款別比較、民生費は伸び続けるので、枝ぶりを小さくする努力。項の中での伸び率を比較する。
市長マニフェストは言いっぱなしではないか、マニフェストと議会の相違が違う場合の検証。個別計画の実行はどうなっているのか、行動計画(シート)と総合計画が一致しているかを毎年評価しながら、後期計画を立てているか、また個別計画と総合計画の整合性があるか
事業別予算を採用している自治体は、行動評価シートと人件費、高齢者福祉で言えば、介護保険、福祉、民生費の繰出金、特別会計内で完結するのか、システムは総務、施設は民生費・土木にかかわってくる。
事業別予算は、政策課題として重要性の高い事業・施策について、各部に散らばっている時があるので全体像を把握すること。
大規模予算ほど、審議が簡単になっていないか。長期計画に則って実施している整備事業は、金額が大きいわりに、時間がかけられない傾向にないか、委託料、補助金、負担金については、積算についても確認する。
性質別経費予算審議のポイント(目的別で見がちだが、節別でみる)
人件費、退職金見込み額などの、財源手当てが計画的に行われているか、給与はデフレ時期にある給与水準かどうか、昇給制度を取っているので、昇給期間の短縮はないか、高齢職員の昇給の在り方が妥当か。各種手当、福利厚生は税で賄うものかどうかの選別。
職員研修は人で仕事をしている。当市は後々現れるもので成果が表れにくい部分がある。研修費が削減されていないか。
公債費、扶助費、又は福祉費として少子高齢化の進展から見直しが進んでいるか。
地域福祉計画、老人福祉計画、障がい者計画、次世代支援計画等、個別福祉計画が自治体の基本構想・基本計画との整合性が図られて、年度予算が策定されているか、また個別計画の見直しに基づいた施策の選択・重点化が図られているかどうか。
公共施設の維持管理計画は、施設が老朽化して、人口構造が変化している現状で、耐用年数を把握したうえで、施設の廃止・縮小、複合化への進展を考え、民間施設への代替え、市民・地域への自主管理運営などの改革は進んでいるか。
特別会計への繰出金は、受益者負担の原則による繰出額かどうか。委託・補助金は従業員への賃金、サービス水準が適正かどうか、各種団体への補助金は地方自治法232条2の「公益上必要がある場合」かどうか。財調への積み増し、退職組合へ払うお金が十分か。将来負担比率算入額は出ているか。
人件費を含む義務的経費の検証と人に投資するという観点から、中途採用など、人に投資するのを投資的経費と考える。
決算統計の分析
歳入として、どのようにお金を集めるか、市として市税など自分で集めて自由に使えるのが地方税、国からもらって自由に使えるのが地方交付税、国からもらって自由に使えない国庫支出金
自主財源、一般財源、依存財源、特定財源、歳出として、どのようにお金を使うのか
目的別: 総務費、民生費~教育費、公債費(借金返済)
・1番は民生費→土木費→総務費→公債費の順
性質別: 人件費、扶助費、公債費、普通建設事業費
・1番は普通事業費→人件費→公債費→物件費
財政分析 形式収入=歳入決算額-歳出決算額
当該年度中に収入された現金と支出された現金(前年度からの繰越金を含み、繰上充用金を除く)の差額。字の場合は繰上充用。国庫支出金が年度内に収入できなかった時や予定額を下回った時、地方債が予定額だけ借り入れできなかった時や年度内に借り入れができなかった時地方税が景気変動になどにより、予定通り収入できなかった時
量出制入と量入制出
経済活動の貨幣的な表現である予算は、量出制入を原則としている。量出制入とは、「出るを量って入るを制す」こと、つまり、支出に応じて収入が確定されることを意味している。財政とは公的な需要、社会のニーズを充足するための存在であるから、まず、財政民主主義の原則のもとでこれらのニーズを確定する必要がある。
収入の範囲内で支出をまかなう「量入制出」原則と異なり、行政は強制力と高い信用力を持っている。議会で決定された公的ニーズを租税の強制徴収と公債による低利の資金調達によって充足するのである。
財務省の財政健全化は伝統的に「量入制出」原則で行われている。
実質収支=形式収支-翌年度に繰り越すべき財源(事業執行・繰越明許)発生主義の要素を加味、
実質収支が黒字の考えは後年度の財政調整に必要な範囲内にとどめ、地方債の繰上げ償還に活用、年度間の財政調整を図る。
形式収支が黒字で実質収支が赤字の場合⇒事故繰越(予算成立後の事情により年度内に完了しなくなった場合に翌年度に予算を繰越す制度)の理由
実質収支が黒字の場合、標準財政規模に対して実質収支比率3%~5%が妥当である。
単年度収支=当該年度の実質収支-前年度の実質収支
歳計余剰金の処分として基金繰り入れ額を除いた額は繰越金として当該年度に歳入されて、当該年度の実質収支を増加させる。
実質単年度収支=単年度収支プラス実質的な黒字要素-実質的な赤字要素
実質的な黒字要素: 財政調整基金積立額、地方債繰上げ償還額
実質的な赤字要素: 財政調整基金取り崩し額
経常収支比率、数字が低いほど弾力性があり、高いほど膠着状況が進んでいる。
臨時財政対策債は、地方交付税が不足する場合に、国だけが借金をして対応するのではなく、その不足分の半分を地方が借金として負わされるものという事です。地方交付税として帰ってくるという考えもあり借金を続けても、国の財政が厳しいので、交付税として帰ってこない可能性もあります。総合計画にあっても、やるものと、やらないもの、計画は実行するものだが、予算を考える。
歳入状況の比較では、地方税、地方譲与税、利子割交付金、配当割交付金、地方消費税交付金、自動車所得税交付金、地方交付税等々と決算額、類似団体比較、決算額構成比で対比する。
歳出状況比較では、人件費、物件費、維持補修費、扶助費、公債費、元利償還費、投資的経費、普通建設事業費、等々と決算額、類似団体比較、決算額構成比で対比する。類似団体比較カードは財政課、決算カードはダウンロードできる。
財政健全化法と予算審議
旧法と新法の違い
自主的な改善努力による財政健全化を促す「早期健全化団体」を設置。公営企業にも早期健全化の措置、一般会計の収支の指標「実質赤字比率」に加えて、公営事業会計の収支を連結させた「実質赤字比率」一部事務組合を加えた公債費の状況を判断する「実質公債費比率」を加えた。
また、一般会計、公営事業会計、一部事務組合、独立行政法人、第3セクターなどの負債ストックを判断する指標の「将来負担比率」を加えた。
実質赤字比率
繰上げ充用額+(支払い繰延額+事業繰越額)
標準財政規模
★早期健全化基準: 都道府県3,75%、政令市500億以上11,25%
標準財政規模500~200億の市12,5%、200億未満の市町村15%
★再生基準 財政健全化施行令と同じ基準 県5%、市町村20%
連結赤字比率
(A+B)-(C+D)
標準財政規模
A:一般会計及び公営企業以外の特別会計のうち、実質赤字を生じた合計
B:公営企業の特別会計のうち、資金の不足を生じた不足額の合計
C: 一般会計及び以外の特別会計のうち、実質黒字を生じた黒字の合計
D:公営企業の特別会計のうち、余剰額を生じた資金の合計
実質公債費比率 3か年平均
(元利償還金+準元利償還金)-(特定財源+元利償還金・財政需要額算入額
標準財政規模-元利償還金・に係る基準財政需要額算入額
一般会計が負担する元利償還金・準元利償還金の標準財政規模の対比
準元利償還金とは(1~5の合計額)
- 満期一括償還地方債について、償還期間を30年とする元金均等した場合、1年当たりの元金償還相当額
- 一般会計などから一般会計等以外の特別会計への繰出金のうち公営事業債の償還に充てたと認められるもの
- 組合や地方開発団体への負担金・補助金のうち、組合等が起こした地方債の償還の財源に充てられたもの
- 債務負担行為に基づく支出のうち公債費に準ずるもの
- 一時借入金の利子
地方債発行についての規定
・18%未満: 地方債発行について、総務大臣と県知事の合意で原則自由に発行
・18%以上25%未満: 地方債発行について許可制となり「公債費負担適正化計画」の提出義務
・25%以上35%未満: 一般単独事業債と公共用地方先行取得事業債の制限
・35%以上: 一般公共事業債にも制限
自治体財政健全化法における早期健全化基準は
早期健全化基準: 県・政令市 400%
再生基準 : 市町村 350%
貯金は多いが借金も多いより、貯金は少ないが借金も少ないほうが、弾力性がなく、危険であり、財調もある程度必要である。
財政健全化法で求められる議員の役割
健全化団体: 4指標の整備の徹底、算定について、監査委員の審査に付し
議会に対して公表。
健全化団体: 財政健全化計画の策定と議会の議決、外部監査の義務付け
実施状況を毎年度議会報告・公表、早期健全化が困難の場合、
総務大臣・知事が勧告
再生団体: 財政健全化計画の策定と議会の議決、外部監査の義務付け、
財政再生計画は、総務大臣と協議同意、同意なき場合、災害
復旧事業を除き地方債の起債制限。同意の場合収支不足額を
振り返るため特例債の起債が認められるが、財政運営が計画
に適合しない場合、予算変更を勧告
夕張市の場合、国が介入、グリーンカードを切られて、6学校か1校へ、市民税アップの要求され実施した。
議員には財政分析を求められていて、議会と監査委員を強調している。
一般会計、特別会計は、予算・決算の認定、議会の議決が必要
普通会計は、議会に参考資料
財政健全化における自治体経営
実質赤字比率、連結赤字比率では、普通会計から公営事業会計への繰出しを抑制(国保が赤字で繰り入れしないと、国保税を上げるしかない)
新地方公会計と予算審議
資産・債務の実態把握、管理体制強化の総点検とともに具体施策の点検。
基準モデル、ストック情報・フロー情報を公正価格で把握。
総務省改正モデル、売却可能資産を始め固定資産情報について、公正価格で把握して、普通会計の決算統計をもとに作成。
東京モデル、複式簿記・発生主義による記録を行い、固定資産台帳に基づき開始賃貸借表を作る。
財務書類の理解は、作成・提出が決算議会なので、予算審議中は、前年度の財務書類を参考にする。決算見込みによる影響と次年度予算に予算への影響を考慮する。
有形固定資産は、仮に売却できる学校などがあれば売却する。バランスシート(会計)売却処分予定では、効果が表れない場合があり、有効性と妥当性を考える。
10年で返すお金を20年で返せば、単年度の返済が減少して、実質赤字比率は下がるが、将来負担比率が上がる。
繰り入れ予算を組んでもお金が入らなければ意味をなさない、多治見市のように、財政健全化条例において、中期の財政健全化計画に臨んでいる自治体もある。
需要(必要性)⇒投入(効率性)⇒活動・結果(有効性)⇒成果(有効性)⇒施策の目的をしっかりする